水晶に内包された針状結晶がすべてルチルとは限らない!?

ルチルクォーツに見られる針状結晶とは?

今回は水晶の内包物として良くみられる、針状結晶についてです。

この針状の結晶がインクルージョンされた水晶ですが、たくさんの誤解を招いています。

天然石として最も有名な針状結晶が内包された水晶に、ルチルクォーツが挙げられます。

ルチルクォーツは金運に良いとされる事もあり、非常に人気のある天然石です。

しかし、針状の結晶が内包されている=ルチルクォーツは大きな間違いです。

ルチルとして売られるアンフィボール結晶石

販売主の知識不足や、何でもルチルとすれば売れるという軽率な考えからか、非常に誤った表記をされてしまっています。

本当は天然石としては安価で取引されているモノが、ルチルクォーツや、インディゴライト(ブルートルマリン)として高値販売されている所に大きな問題があります。

極端な言い方をしてしまいますと、価値が低いモノを違った表記にして高値で販売してしまう。食品業界でこんな事をしてしまったら大問題です。

天然石業界では産地偽造や誤った表記が簡単にまかり通ってしまう悲しい現実があります。

インターネット最大手の販売会社が、誤った表記を平気でしています。

このコラムを通じて、少しでも石を選ぶ時の参考になれば幸いです。

まずは、一番多く間違われる針状結晶がアンフィーボールです。

アンフィーボール=角閃石を、様々なルチル水晶として販売されています。

アンフィーボールには様々な種類があり、その種類は200種類近くもあります。

酸化鉄の影響で赤くなったものが内包されるとレッドルチルにとても似ています。

白いアンフィーボールが内包されるとホワイトルチルやヘアルチル、ラビットヘアルチル

アクチノライト=緑閃石と呼ばれるものが内包されると、グリーンルチル
クロシドライト=青石綿と呼ばれるものが内包されると、ブルールチル

と様々な色味があり、パッと見では非常に判断しずらいのが現状です。

このアンフィーボールの特徴としまして、金属光沢がなく、針状結晶の針がルチルクォーツに比べてしっかりしていないのが特徴的です。

ルチルクォーツは一本の針がしっかりしているのに対し、アンフィーボールは良く見ると線が所々で切れている場合が多いです。

一つの石の中に白っぽい色やオレンジなどが混ざりあっていることも多いです。


ガネッシュヒマール産 アンフィーボールインクォーツ


ホワイトアンフィーボールインクォーツブレスレット

ブラックルチルとショールトルマリン

この他、トルマリンもよくルチルクォーツとして販売されています。

一番間違った表記として販売されているのは、ブラックルチルです。

このブラックルチルはルチルではなく、ショールと呼ばれるトルマリンの場合がほとんどです。

ブラックトルマリンの特徴は、太い束状になることが多く海苔のような太い針に見えることが多いです。

ショールトルマリン事体は、れっきとした鉱物としての魅力を持った天然石です。しかし、それをブラックルチルと偽って販売してしまうことに問題があります。

その他、ドラバイト・トルマリン(茶色・褐色・黄色・黄緑色などの針状結晶)が水晶に内包され、様々な色味のルチルクォーツとして販売されています。


ブラックトルマリンインクォーツブレスレット

針状のインクルージョンはこの他にもたくさんあり、エジリンなどの輝石類、ゲーサイトやレピドクロサイト、カコクセナイトなどもあります。

レピドクロサイトは、スーパーセブンがたくさん出回った事もあり、さすがにルチルには間違われなくなりましたが、ゲーサイトは黄金色の針状インクルージョンという事もあり、まだまだルチルとして間違われている事が多いです。

また、チューブインクルージョンといわれる、空洞により針状インクルージョンに見える場合もあり、アクアマリンルチルやトパーズルチル等といった酷い紹介も目にした事があります。


ナチュラルトパーズチューブインクルージョンペンダント


オレンジレピドクロサイトルース

アンフィーボールやブッラクトルマリンなど、これらをルチルかルチルではないのかを見極めるには、石を熟知している方でないと判断しずらいのが現状です。

針状インクルージョンは、鉱物学を学んでいるプロの方たちでも、見た目だけでは間違ってしまう場合も多く、鑑別機関でも正体不明の針状インクルージョンをサゲニティック・クォーツと呼んで総まとめにしているほど、針状インクルージョンの判断は難しいのです。

グリーンルチルやブルールチル、ホワイトルチルは存在するのか?

それでは、逆から考えてみることにしましょう。

はたして本当にグリーンルチルやブルールチル、ホワイトルチルは存在するのか?

答えはYESではありますが、限りなくNOに近いYESです。

鉱物学的にはあり得ない事ではないですが、本当のブルーやグリーン色をしたルチルは滅多にありません。

そのため、グリーン・ブルー・ホワイトルチルクォーツは無いと考えた方が無難です。

グリーンルチル・ブルールチル・ホワイトルチルと記載されていた場合は、ルチルではない。

違う鉱物が入っている。と理解した上での購入をおすすめします。

レッドだけは非常に難しいので、信用のあるお店での購入をおすすめします。

最終的には信用のおけるお店選びが重要

説明なしのグリーンルチル・ブルールチル等の名称で販売しているお店は避けた方が無難です。

一番はこれらの説明をしっかりされているお店選びがとても重要なのかもしれません。

天然石は非常に奥が深く、当店でも解らない所で間違った表記をしてしまう事もあると思います。

しかし、そのような事が少しでも無いよう最善の注意を払って紹介しております。

明らかに営利目的により違う表記をして販売しているお店には悪意を感じざる得ません。

たくさんの天然石のお店がある中で、このコラム通じて少しでも天然石選びの参考になれば幸いです。

今回はとても長文となりまして申し訳ありません。

注:独自に調べたものであり、100%事実とは限りませんのでご理解の程お願いいたします。

石の世界は本当に深く、当店もまだまだ解らない事だらけではありますが、出来る限り正確な情報を皆様にお伝え出来ますよう、今後も日々精進して頑張っていきたいと思っております。

少しでも皆様が安心して天然石を購入出来る手助けが出来れば幸いです。

今後ともパワーストーンINFONIXを宜しくお願いします。

最後まで読んで下さり有難うございます。